■ 概要


K farm 〜 猫と一緒に*平屋暮らしのリノベーション 

所  在:埼玉県新座市

構  造:木造平家

主要用途:専用住宅

工事種別:改修・減築

改修面積: 67.39㎡

竣  工:2023年7月

 

 一部平屋の2階建て住宅を「部分スケルトン・リノベーション」。

築70年の平屋部分をA、築40年の2階建て部分をBとすると、

Bのみを部分スケルトン・リノベーション。

Bの2階部分を解体後、直下の1階部分をスケルトンにし、

A+Bとも屋根の葺替&耐震補強+Bのプラン変更+断熱補強の平屋改修工事。

 

調査当時、既存建物の図面がなかったため、全体把握ができるように、

現況図面の作図・各部の採寸からスタートしました。

間取り、高さ、フロアレベル、床裏、小屋裏、基礎廻り、蟻害・腐朽箇所のチェック等、

建物の現況を詳細調査し、耐震診断の上、改修方針をまとめていきました。

 


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Den設計室 * SUVACO


■ 施主のご感想


 

2020年に義両親が相次いで他界した後、残された家に手を入れて、

私たちシニア夫婦の終の棲家にしたいということから話は始まりました。

当時私たちが住んでいた家は、30年前に義両親宅と同じ敷地内に新築で建てた家でしたが、

住んでみるといろいろと思うところはあるもの。「今度は後悔しない家を作りたい」からの出発です。

 

そのために、まずはどこの業者さんにどんな形で依頼するのか。

結局、複数の設計事務所、戸建住宅などを手がける(誰でも聞いたことがある)大手の建築会社と直接お話をした中で、

迷うことなく新田さんにお願いすることになりました。

 

義両親宅は、平屋の築70年部分と2階建ての築40年部分からなる家で、

「40年部分を平屋にして実質的な生活スペースとし、シニア夫婦が老後を過ごす家を作りたい。

シンプルでコンパクト、テイストはナチュラル。

夢だった薪ストーブを設置したい」という要望に、全て応えてくれると思われたのが新田さんだったからです。

義両親宅は図面等が無く、そのためにまずは家の調査が必要と、設計前の段階でお手を煩わせることが多かったことと、

こちらの都合でスケジュールが非常にタイトなものになってしまったことなど、

新田さんにとってはいろいろな意味でなかなかにやっかいな案件だったかと思いますが。

 

調査・作図、間取り提案から、設備、見積額等、細かい打ち合わせを重ねる中で、

プロ目線での指摘やアドバイスが、新田さんへの信頼度を加速させていきました。

素人の思いつきを気軽に口にしては行きつ戻りつする私たちの話を、忍耐強く丁寧に聞いた上で、

技術、デザイン、法令、費用などの理由を示しながら、その可否や検討余地などを的確に答えてくれるので、

納得して次に進むことができたのです。

 

そんな中、記憶に残っていることがあります。

打ち合わせの際、「〇〇さん(私)が、いつもテーブルのこちらに座ってらっしゃるのは、

キッチンに近い席だからだと思いますが・・・」と言われたこと。

細かいことに目をやり、そこから普段の生活を想像し、設計に生かすということを当たり前にやっているのだろうなと、

そのプロ意識を感じた出来事でした。

今思い返しても、私たちにとって、打ち合わせはとても楽しい時間でした。

楽しみながら日々は過ぎ、今夏、大満足の家ができました。

 

無垢材(杉)の床に和紙クロスの壁。

リビングは、和テイストな障子に、ベルギー製の薪ストーブがごく自然に調和しています。

カウンターの両端の柱や、のっぺりした印象にならないようにと壁に設けられたアクセントの板など、

新田さんの設計士としての実力を感じさせる空間です。

流行最先端のスタイリィッシュなインテリアを置いても、アンティークな和のインテリアを置いても、

どちらもぴったりくるのでは?と思わせるような、寛容性の高さ、懐の深さを感じる部屋になっています。

また、今回、築70年部分の趣もとても大事に考えていただき、部分改築ながら、

外観は築70年部分とのつぎはぎ感を感じさせず違和感の無い佇まいとなったことも良かったと思っています。

 

かつて住んでいた家は、「広いね」とは言われても「素敵だね」と言われたことはなかったのですが、

今の家は、写真を見た人誰もが、「素敵な家だね」と言ってくれます。

我が家には5匹の猫がいますが、今年の冬は、猫を撫でながら薪ストーブで暖を取り、

ゆったりと時間の流れを楽しむ、ちょっと優雅な毎日が過ごせそうです。

 

今思うのは、これからの人生をこの家で過ごせてよかったということ。

 

「後悔しない家」ができたのではと思っています。